シゴフミ 第十二話
キラメキを告訴した文歌。半月に及ぶ事情聴取を終え、要の学校に通うことに。しかし、告訴の件がマスコミに漏れていて文歌は好奇の目に曝される。
いつでもどこでも鳴り響く携帯カメラのシャッター音、無責任な報道を垂れ流すテレビ、お世話になっている葛西家に連日押し寄せる取材陣、あること無いこと書き込まれるBBS…気の休まる暇もなく文歌は追いつめられていく。
携帯カメラってこういうときにとことんタチが悪いよな…と書くのは語弊があるな。悪いのはカメラでなく人間だ。カメラには何の罪もない。むしろ自分のモラルの低さをカメラに責任転嫁するのは言語道断。まるで注意しない学校側にも問題はあるとは思うが…
自分たちですっぱ抜いて置いて、裁判所の情報管理が甘いとか言い出すのはどうよ?盗人猛々しいとはこのことか?
何かと文歌の世話をする要に、要が好きになったのはミカの方、文歌がそのミカを撃ったのだと詰め寄る夏香。夏香には関係ないと返されて、勢い余って告白。玉砕フラグ一直線じゃないか(T-T)
それを聞いていた文歌はこれ以上迷惑はかけられないと、海外にいる母・綺麗を頼ることを決意するが、その母に面と向かって育児放棄されて愕然。そのショックで周りから聞こえるシャッター音が全て自分を写している、全ての会話が自分を嘲っているとノイローゼ状態になり失踪。
自分はまだ女でいたい。文歌を産んだのは「女の幸せ」という物を知っておきたかったから。でも出産はもうごめんだとか、これ以上ない親失格ぶりを発揮する綺麗。養育費を払えばいいってもんじゃねぇ!キラメキの溺愛ぶりと足して2で割ればまともになるんだろうか?
キラメキがおかしくなるのも分かる気がするな。キラメキも被害者で元凶はこいつじゃないのか?
行く当てもなく、結局、大嫌いだったはずのキラメキのアトリエに帰ってきてしまった文歌。ミカに頼ることなく一人でやっていけると証明するためにがんばってきたけどやっぱりダメだった、とこめかみに銃を当てる。しかし、その文歌の前に消えたはずのミカが。
僕はフミちゃんの弱さと甘えだからと語るミカ。近づいてくるミカを拒絶し、文歌はミカを殴ろうとするが、先に殴ったのはミカの方。その後もミカは文歌を殴り続け、フミちゃんじゃ僕には勝てないと告げる。
あの時、ミカは文歌に引き金を引かせていた。フミちゃんが自分で撃たなければダメだったのだと告げ、今度こそ自分を撃たせようとするミカだったが、文歌は銃をミカに投げて寄越し、そんなに消えたいなら私を撃て。そうすれば二人とも消えると叫ぶ。
動揺するミカに文歌は更に追撃を。ホントは消えたくなんかない癖に!学校に行きたかったのも、友達が欲しかったのも、みんなミカの方!何でいつも私がしたいと思ったことを先にやっちゃうの?何で待っていてくれないの?私のしたいことを全部取らないでよ!
フミちゃんのために、と思ってしたことが全ていらぬお節介、はた迷惑だったと告げられて激昂したミカは文歌と額を付け合わせて言い合いを始める。
この辺、元は同一人物なんだよなと実感するなぁ…鏡に向かって叫び続けているような物か?
お互い、腹の底に溜めていた物を全て吐き出し、相手にぶつけた後は互いに手を取り合って泣き合う二人。変わらなくちゃと思っていた。でも変われなかった。変わる必要なんて無かった。私たちがフミちゃんとミカでいるためには変わってはいけない。ミカを私の中に入れてあげない。変わってなんかやるもんか。それが文歌の出した結論。
そして、文歌は人間として、フミカはシゴフミ配達人として再び歩き始める。
これもフミカがシゴフミ配達人を続けられるように尽力してくれたチアキとパートナーはフミカだけと信じて待ち続けたカナカのおかげだな。キラメキの新刊発行を綴られた言葉達に罪はない、と強行した春乃もGJ!EDで流されるシゴフミを受け取った人々のその後も良かった。
・総評
目を逸らされがちな社会の歪み、暗部に真っ向から問題提起する作品…と思わせておいて、いかに死ぬか、何を遺せるかを経由して、配達人であるフミカ自身の問題の解決で幕を閉じた辺りを考えると、メインはフミカでシゴフミはそのための手段だったのかな?
問題提起の方で考えると度重なる自主規制で水を差された感が否めない。臭い物には蓋、事なかれ主義の害悪を自ら示してしまった辺りは皮肉だよな。
問題提起だけして置いて投げっぱなしの印象が残るのはそのせいで途中で路線変更でもあったのかと勘ぐりたくもなる。
シゴフミはあり得なかった未来の可能性。だが、それに縛られすぎるのも良くない。死者の想いを胸に刻みつつも、あくまで自分の人生を歩めばいい。自分の人生は自分の物。それから逃げ出したりせず懸命に生き抜いた末に自分の人生は悪くなかったと悔いのない最後を迎えられれば理想だよな。
シゴフミを出す権利を得たときに、未練を悔いるのではなく、遺された者にありがとうと言える、そんな人生を。
スタッフの皆様、お疲れさまでした。
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