あさっての方向。 第十二話
あさっての方向に突っ走ってきたこの作品もとうとう最終回。
からだをからだだと認めようとしないテツ。尋と椒子が迎えに来た、そんな動かしようのない事実を突きつけられても頑なにそれを拒み続ける。
そのテツに不知火の話をする先生。本当かどうか分からない不思議な話。でも、大切なのは今も変わらずそれが人々を導いていて、それを信じている人がいると言うこと。意固地になっているのがばからしくなって、テツはようやく全てを受け入れる。
この先生、一体どこまで分かってるんだろう?事情は分からないまでも何かを察してたなんてレベルじゃない気が。
椒子は、からだに貴女のせいじゃない。貴女がいたから尋に再会できて、今も一緒にいるんだと語りかけるが、最後まで言い終わらない内にからだは再び逃走。まさか、この期に及んでまだ逃げるとは予想外だった…
椒子さんは優しいからそう言ってくれているだけなんだ。そう思いこんで駅に向かったからだの前に現れたのはテツ。駅に先回りしたのは良い判断だ。
またどこかに行っちゃうのか?いいよ、行けよ。でも、俺は何度でも探す、そして何度でも見つけてやる。…好きだ!そんなテツの真摯な言葉を聞いては、もはやからだは逃げ続けることは出来なかった。
感動的なシーンなんだけど、からだをテツに渡すのは複雑な気持ちの自分がいる…しかし。
貴女がいて楽しかった。貴女がいたから頑張ってこれた。貴女といて幸せだった。
―これからも妹でいて良いですか?
これからも兄でいさせてください。
尋兄が全部持っていった!?
自分も子供に戻りたいと願っていた、でもそれを認めたくなかった。そう語る椒子に、尋はやり直してどうするつもりだったんです?椒子が椒子だったから俺たちは出会えたのにとかなんとか。
以前の椒子もそうやって籠絡したのか!?
大人になりたかった理由、子供になりたかった理由、お互いそれを無くして、それでも元に戻れない二人。そんな二人に「今」が手をさしのべる。
椒子にだけ別れを告げ街を去る琴美。その琴美が最後に椒子のポケットに忍ばせた物。それは他でもない願い石。
てっきりこのまま戻れない物かと…琴美の「お父さんの言ったとおりだった」との言葉から推測するに、琴美の父も願い石に願い、叶った事があるのかも。そして、それが琴美と父の間にあったわだかまりの原因?もしかして、先生もそれに関わっていたのかな?
かくして、一夏の物語は終わりを告げ、元に戻ったからだと椒子、そして尋の新しい生活が始まる。
勝利者と思われたテツは放置気味だし、結局、尋の一人勝ちか!?
・総評
本当の兄妹じゃないからこそ、理想の兄になろうとし、出来うる限りの愛情をからだに注いできた尋。
本当の兄妹じゃないと知っているからこそ、自分を犠牲にしてまで愛情を注いでくれる兄に引け目を感じていたからだ。
お互い相手のことだけを見ているつもりで、実はお互いあさっての方向を向いていた二人に、自分の気持ちに素直になれずあさっての方向を向いている椒子が加わり、願い石があさっての方向に願いを叶えたことで、事態は更に大きくあさっての方向に。
言葉でなく雰囲気で語る、それでいて決して間延びしない絶妙なバランスの上に成り立っていた作品。1クールなのが実に惜しい。尋とからだの話で1クール、元に戻るための願い石探索で1クールとかでも良かったかも。
さて、原作とDVDをそろえましょうか。
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