灼眼のシャナII 第九話
ユーリイを置いてアナベルグ討滅に赴いたマージョリー。アナベルグ程度は敵ではない。問題はその護衛・シュドナイ。しかし、その気配はあいまいで所在が掴めなかった。しかし、それこそがアナベルグの特性・全てをぼやかす蒸気。今、その対象は「気配」。
すんでのところでシュドナイの不意打ちをかわし、屠殺の即興詩をぶち込んだマージョリー。しかし、シュドナイの変化した甲羅がシュドナイ自身とアナベルグを守る。
封絶を張らずに破壊して欲しかったと告げるアナベルグの言葉でその目的を察したマージョリーに、アナベルグは語る。無から有を生み出す人間の力は素晴らしい。特に損失から立ち上がり、復興し、以前を越える発展をしていく様は。世界の有り様すら変える文明の力。大恐慌から立ち上がり復興を遂げたニューヨーク。エンパイア・ステート・ビルはその象徴とも言えた。それを破壊すれば、人間達は、次にどんな素晴らしい力を見せてくれるのか?
それこそが「文明の加速」。そして、それを我が手で行えることこそ、アナベルグの愉悦だった。
それをちんけな放火魔の言い分と吐き捨てるマージョリーにアナベルグは告げる。復讐と憎悪しかない人間の抜け殻には理解できないと。マージョリーにとっては無意味だと思われた会話。だが、それこそが罠だった。アナベルグの方に注意を向けておいての気配のぼかされたシュドナイによる不意打ち。ユーリイの使い魔に警告される寸前までマージョリーはそれに気づけず、結果、深手を負ってしまうことに。
使い魔・隷群を纏っての突撃。自身に出来る最大の攻撃でシュドナイを打撃を与え、マージュリーの窮地を救ったユーリイ。役割分担を告げられたユーリイは見事、アナベルグ討滅に成功する。しかし、ユーリイは「役割分担」の意味を本当には理解していなかった。消耗しきったままマージョリー救援に向かう。「奪う者から守る」という自分の有り様のままに。
背後からの奇襲。今度のそれは既にシュドナイに気付かれていた。命がけで挟撃すればシュドナイを討滅出来るかも知れなかった。しかし、それはおそらく相討ち。だからマージョリーは動かなかった。こんなところで死ぬわけにはいかない。銀を討滅する―自らの復讐を遂げるその日まで。
だから、シュドナイがユーリイを引き裂きその背後から炎弾を放ったときにも、迷わず迎え撃った。自分が生き残るために。
既に戦う意義を失っていたシュドナイはその隙に撤退。残った結果はアナベルグ討滅とユーリイの戦死。ただそれだけ。
復讐を遂げるためには他の全てを犠牲にしても、どんなことをしてでも生き延びる。マージョリーを始め、フレイムヘイズの根底にあるそれをユーリイは持っていなかった。そればかりか他人を守るために命をかける。そんな思いはフレイムヘイズにとって害毒でしかない。だからユーリイは当然の結果として戦死した。
佐藤が憧れ、踏み込もうとしているのはそう言う世界。非情なきれい事では済まない世界。マージョリーがこの話を語った意味を佐藤はかみしめる。
一方、悠二は封絶に成功していた。しかし、シャナとアラストールは絶句する。その炎の色は銀―
途中途中に現在を挟むのは興ざめだと思っていたけど、なるほど、こうつなげるのか。なんか無理矢理本編に戻したような。まあ意図するところは納得したからいいけど。
シュドナイがユーリイの奇襲に気付かなかったのはアナベルグの蒸気が敵味方を問わず気配をぼかしてしまうから。だからアナベルグ討滅後はあっさり看破されている、とか分かりづらいよね。
命を賭して誰かを守る。それは人間だったら美しいこと。しかし、フレイムヘイズには不要どころか致命的欠陥。そんな人間的感情を残してしまったのがユーリイの悲劇か。
多くの人々を守るために「戦い続ける」ためには生き残らないといけない。しかし、ユーリイは全体のために個を犠牲にするという選択が出来なかった。その矛盾の狭間にユーリイは消えていった。
しかしまあ、今までのアニメオリジナルのグダグダっぷりのおかげで原作話が恐ろしくクオリティが高く感じられるなぁ、と。番外編だけど。
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