ひぐらしのなく頃に解 第十八話
今回もいつも通り別荘分譲地の見学ツアーが開かれた。そしていつも通り彼がこのツアーに参加し、いつも通りこのススキ野原に迷い込んでくる。だから私たちはいつも通りここで遊び踊る。新しい風をこの雛見沢に呼び込むために。
悟史に感謝の言葉をかけられて私は困惑した。私は園崎の人間なのに。私が出来るのはせいぜい学校に外でのしがらみを持ち込ませないこと。お為ごかしの偽善者になる勇気もない。そんな無力な私でも頼ってくれるなら、力になれるなら、私は全力でそれに応えよう。沙都子にとって優しい時間を私が作ってあげられるなら…「部活」はこうして結成された。
「あの人」の言葉など誰が聞く物か。いや、そうでなくてもこんな薬を二度と飲む気はなかった。この薬を飲んでいた頃の記憶は酷く曖昧で思い出そうとすると頭がチカチカして…不快な気分を洗い流すため、お風呂に向かう途中、足音が一つ多く聞こえた。
お風呂で血管を開いて中を確かめると途端にウジ虫が湧きだしてきた。これはきっとオヤシロ様の祟り。でも、どこからか「ごめんなさい」と繰り返す声が聞こえてきたらウジ虫は溶けて消えてしまった。オヤシロ様だ。雛見沢に帰ってこいとオヤシロ様が言っている…
村に戻った私を近所のおばさんは覚えていてくれた。そのことは嬉しかったが、名前を間違っていた。私は礼奈じゃないよ。レナなんだよ?私はレナとして新しい生活をやり直すんだよ。そして今度こそしぁわせになるんだ。
足音がずっと付いてくる。ひたひたと、ひたひたと。それをこの前転入してきたばかりのレナが知っていると―オヤシロ様の祟りだと断言した。僕はもう限界だった。
沙都子の誕生日。バイト代で詩音が予約してくれたぬいぐるみを買うことが出来た。でも、ショーウィンドウで見た印象よりも大きいそれは、とてもじゃないけど自転車のかごには入らなくって。監督の好意に甘えて車に乗せてもらうことにした。沙都子は喜んでくれるだろうか?車の助手席に座ると気が抜けたからか、最近続いていた微熱が上がった気がした。
もうおばさんはいない。もう沙都子をいじめる奴はいない。そのはずだった。でも。いま通り過ぎたのはおばさんではなかったか?そこの角を曲がったのは?そこで立ち話をしているのは?あんなにそっくりなのにおばさんじゃないわけが!?おばさんはまだ?あんなに*したのに!あんなに*ったのに、なんで?なんで!?
オヤシロ様は村から逃げようとした僕を許さなかった。沙都子を見捨てようとした僕を許さなかった。兄失格の僕を許さなかった。僕の中にもウジ虫が湧いているのかな?痒い。体が、喉が!!助けて…
悟史君は急性発症していた。ぬいぐるみを買えたことで張りつめていた気が緩んだ途端、今まで受け続けていたストレスの負荷が一気に…ようやく平穏な日常を手に入れられると思った矢先だというのに!新たな検体が手に入ったと喜ぶ鷹野さんの態度が信じられない!
前原に駄目押しを加え、万全を期す。これで彼は必ずここにやってくる。この淀みきった沼の堤を破り、流れを生み清水へと変えてくれる彼が。
きっかけは北条の悟史が居なくなった日に魅音に詰め寄られた一件だった。おとなしく従うばかりだった魅音が園崎家頭首を絞め殺さんばかりの勢いで詰問した。その時、自分が老いたことを実感したのだ。もう自分には何かを変える力はおろか、自分を変える力も残ってはいないことを。だから、若い者達に委ねることにした。
レナちゃんが帰ってきて嬉しそうな魅音を見て、土地の一部を分譲地として売り出す決意を固めた。そこにやってくる新しい風が悪い空気を吹き飛ばしてくれることを信じて。魅音、お前はその新しい風と協力し混じり合い旋風となって、この村の空気を清めておくれ。
新しい風にして希望の光・圭一がついに転入してきた。昭和58年の雛見沢、その舞台は整いつつある。しかしまだコマが足りない。皆殺し編のゲーム盤では今揃っているコマ達で勝負を挑み、そして破れた。だから、私たちは最後のコマが必要だった。鷹野の強大な意志を打ち破る力を秘めたコマが。それはあなたよ、羽入。
さあ、始めましょう、この新しい雛見沢・祭囃し編の世界を…
「分譲地下見」のカケラ来たー♪どこからどう見ても妖精さんです。そりゃ引っ越してくるしかないわ。羽入が見えている時点で伊知郎、常人じゃないんだが、毎回見える上に会話まで出来るんだから相当強固な意志が働いてるよな。
実際、梨花と羽入はこれが圭一転入フラグと気付いてから毎回欠かさずやってるし。
「部活結成」も短いけど良いカケラ。で、梨花と沙都子のその距離は何?
「赤いカプセル薬~竜宮レナ」のカケラは分かり易くアレンジ。でも、あの赤いカプセル薬はかなり強力な物のようだし、医師の監視の下、入院中投与限定じゃないのかな?
悟史失踪の真実。ぬいぐるみを買うことは出来た物の車内で急性発症し、そのまま入江診療所へ。発症したのが入江の車の中だったのがせめてもの救いか。興宮で独りでいるときに発症したら、誰彼構わずおばさんだと誤認して襲いかかっていた可能性が。
鷹野は相変わらず(--;
ブラフをブラフで塗り固め、作り上げた鬼の面を外せなくなったお魎。その素顔を見ることが出来るのは茜、悟史の件を詰め寄った後の魅音、そして別格で梨花?皆殺し編の世界が続いていたら沙都子にも見せていたかも。つくづく難儀な人だよな…
圭一が雛見沢に来たのは、新しい風を求めるお魎が分譲地を売り出したからでもあると。
梨花におまえのせいと言われて涙目の羽入が可哀相だけど可愛いよ。
幾多のカケラを集め、ついに紡ぎ出された祭囃し編の世界。舞台に上がる決意をした羽入を含めたコマも揃い、ゲーム盤の準備は整った。
最後の奇跡が必要ですか?
以下、ネタバレ白字反転。
概ね満足だけど、レナの初めての綿流しも見たかったなぁ…
原作組としては梨花の言動に違和感を覚えるけど、ま、上書きされたらリセットですよ(笑)
私見としては、カケラ紡ぎ中の梨花はカケラの魔女見習い・フルデリカだと思っているので梨花の知らないことを知っていても無問題。魅音とかと喋ってるのはこの世界のその時点の梨花だけど、最後の校庭にいたのはカケラを見ているフルデリカと羽入なんではないかと推測。
で、この世界の梨花に上書きする時点でノイズ混じりの部分は転送エラーで消滅とかそんな感じで。
| 固定リンク
「終了・ひ ひぐらしのなく頃に」カテゴリの記事
- ひぐらしのなく頃に礼 昼壊し編(2009.08.22)
- ひぐらしのなく頃に礼 賽殺し編 其の参(2009.06.25)
- ひぐらしのなく頃に礼 賽殺し編 其の弐(2009.05.31)
- ひぐらしのなく頃に礼 賽殺し編 其の壱(2009.03.26)
- ひぐらしのなく頃に礼 羞晒し編(2009.02.28)
コメント